ヒトのサンプル研究の国内サポート体制について
(2024年12月)
はじめに
近年、神経研究においてヒトのサンプルを用いた研究の重要性が増しています。動物モデルで捉えられた現象を人体で確認することは、研究成果の臨床応用への橋渡しとなる極めて重要なステップです。
しかしながら、ヒトのサンプルを用いた研究には、倫理的配慮や法的規制、技術的な問題など、多くの課題が伴います。特に、この分野に慣れていない研究者にとっては、ハードルが高いと言われています。
そこで、皆さまの研究に関する情報をお伝えします。
生体試料支援のご紹介
国内で、ヒトの生体試料の支援を受けつている所が複数箇所ございます。各機関への申請は直接行っていただく必要があります。また、所有するサンプルの種類や特徴については、各機関に直接お問い合わせください:
- ブレインリソースの整備と活用支援活動
<https://square.umin.ac.jp/cohort/about/B-1.html>
このページの下に、問い合わせ、および申請書フォームのリンクがあります。直接ご申請ください。所有サンプルの詳細については、問い合わせフォームよりご確認ください。
- 日本ブレインバンクネット
問い合わせは <mmorishima@ncnp.go.jp> に送られて下さい。HPの<jbbnsec@ncnp.go.jp> ではないので、ご留意ください。
申請は <https://jbbn2.jp/researchers.html> から直接行ってください。利用可能なサンプルの種類や特徴については、上記メールアドレスにお問い合わせください。
- 新潟大学脳研究所 共同研究拠点
共同利用・共同研究の申請方法が此方になります。<https://www.bri.niigata-u.ac.jp/joint/download/index.html>
この場合は、あらかじめ、新潟大学脳研究所の教室が受け入れ先になりますので、受け入れ先施設との直接の相談をされてください。利用可能なサンプルについても、受け入れ先施設にご確認ください。
その他精神疾患のDNAバンクとして、東北精神疾患ブレインバンク・DNAバンクがあります。
研究計画の段階で各機関に直接ご相談いただき、各バンクのルールや倫理体制に従って申請を進めていただく必要があります。各機関で保有するサンプルの種類や特徴が異なりますので、詳細は各機関に直接お問い合わせください。
倫理委員会との相談
ヒトのサンプルを用いた研究を計画する際、最も重要なステップは所属機関の倫理委員会との相談です。倫理委員会は以下の点について適切なガイダンスを提供します:
研究計画の倫理的妥当性の評価
インフォームド・コンセントの適切な取得方法
個人情報保護に関する指針
サンプルの適切な取り扱いと保管方法
研究結果の公表に関する倫理的配慮
これらの書類作成については、所属組織の倫理委員会にご相談ください。また、適切な倫理講習が各組織で行われていると思います。これらを必ず受講してください。
特に個人情報保護が重要です。各研究機関は、これらの問題を解決した形でサンプルを提供されますが、研究者としてヒトのサンプルを扱う場合に特に留意すべきことがありますので、ぜひ、ご自身でも学んでください。
おわりに
ヒトのサンプルを用いた研究は、多くの課題を伴いますが、神経研究の発展と臨床応用には不可欠です。各研究機関との直接の相談・申請を通じて、適切な研究体制を構築していただければと思います。
倫理的な問題や、書類作成は、まずは所属機関の倫理委員会にご相談ください。
皆様の挑戦的な研究が、神経化学の新たな地平を切り開くことを期待しています。
日本神経化学会理事長 小泉修一
バイオバンク活用委員会委員長 小野寺理
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