【日本神経化学会】委員長だより(ダイバーシティ推進委員会)
ダイバーシティ推進委員会の委員長を務めております東田 千尋です。本委員は、私と7名の委員の方々(飯島 崇利先生、金子 雅幸先生、定方 哲史先生、竹本-木村 さやか先生、田渕 明子先生、本多 敦子先生、松尾 由理先生)で活動しております。日本神経化学会の中でダイバーシティが推進され、いろいろな立場の方々が活躍できる学会になるように、会員属性の把握、女性研究者など数的に少数派の研究者をエンカレッジし、学会全体のダイバーシティ意識が高まることを目指して活動を行っています。
馬場広子大会長と小泉修一理事長のご尽力により第63回大会が大成功のうちに終わりました。大会における女性比率は以下の通りです。
・シンポジウム・セミナー座長:20.5%
・シンポジウム・セミナー演者:26.7%
・若手道場座長:0%
・若手道場演者:53.3%
毎年、大会の開催様式が異なりますので(他学会との合同大会)単純に比較はできないかと思いますが、過去3年の推移を見てみますと(2018年 ⇒ 2019年 ⇒ 2020年)、シンポジウム座長は10% ⇒ 17%⇒ 20.5%、シンポジウム演者は8% ⇒ 25 % ⇒ 26.7%、若手道場演者は33% ⇒ 35% ⇒ 53.3%、と確実に女性比率が増加していることが分かります。特に、若手道場に挑戦する気骨のある若手の数に男女の差がないことは、重要な事実ではないでしょうか。
本学会の女性会員比率は、一般22.5%、学生30.6%ですから、基礎人数比率を上回る若手道場女性演者の伸びは、女性が活発化していることの表れと考えられます。“若手”“女性”のエネルギーがこの学会の大きな特徴となることを願っています。
第63回大会では、ダイバーシティ推進委員会企画セミナーを開催しました。アカデミアと企業をつなぐ技術移転・事業化を行う数々の会社の代表取締役の武田泉穂先生をお招きしました。研究者自身が望む望まないにかかわらず、アカデミアの研究成果が人々の役に立つには技術移転とそれに続く事業化が必要です。そこには、武田先生のように高い専門性を有するサイエンティストとしての目利きによって、研究者を支援し人と人を結び付け、科学を社会実装できるプロセスを担う人材が必要です。そういった職種の需要が高いこと、そこにはPh.D.の活躍、女性の活躍が大いに期待されていることをお話しくださいました。
このセミナーに寄せられた質問と回答はこちらからご覧いただけます。当日視聴された方もそうでない方にも参考になるQ&Aであると思います。
最後になりますが、オンライン学会は、顔と顔を突き合わせられない寂しさ物足りなさはありますが、離れた場所からでもじっくりと目の前の発表に集中できる良さがあります。子育て中の研究者にとっては優しい形式であると思いました。学会に参加したくても家族の事情でなかなか家を空けられない、あるいは託児所を利用して頑張って学会に参加しても懇親会にはさすがに出られない、という方は結構いらっしゃると思います。今回のオンライン学会で経験した良い部分を何かの形で生かしていくことで、より多くの会員がこの学会に所属することのメリットを感じられるといいのではないかと思います。
ダイバーシティ推進活動に望むことがあれば、随時、学会の事務局、あるいはHPの目安箱までお気軽にお寄せいただけたらと思います。
*神経化学会 目安箱
ダイバーシティ推進委員会
東田千尋