【日本神経化学会】委員長だより(利益相反委員会)
昨年度、利益相反委員会委員長を拝命し、工藤喬先生、仲嶋一範先生、吉田成孝先生、上野修一先生、照沼美穂先生と活動させていただいております。本学会は、臨床研究や治験を直接扱う学会でないこともあり、これまで利益相反(conflict of interest: COI)に係る案件の数は多くありませんでした。しかし、現在、産学連携の機会が増加し、研究成果に対する社会への説明責任もより強く求められていることから、利益相反の的確な管理及び開示は非常に重要であると考えております。そのような中、昨年、日本医学会の「COI管理ガイドライン」が改訂されました。現在使われている本学会の利益相反指針との整合性等について協議する為、先日、オンラインで利益相反委員会を開催致しました。本学会は日本医学会の分科会ではありませんが、せっかくの機会ですので、この場をお借りして、同会の「COI管理ガイドライン」の改定と本学会の対応について簡単にご説明させていただき、会員の皆様のより一層のご理解とご協力をお願いできればと思っております。
これまで日本医学会の「COI管理ガイドライン」は2,3年に一度改訂されてきましたが、今回の改訂のポイントは、LancetやNew Engl J Med など国際一流雑誌の編集者などからなる医学雑誌編集者国際委員会(International Committee of Medical Journal Editors: ICMJE)によるCOI管理指針ICMJE Recommendations for the Conduct, Reporting, Editing and Publication of Scholarly Work in Medical Journalsに足並みをそろえ、各分科会(各学会)刊行の医学雑誌の論文投稿等に際して、ICMJE DISCLOSURE FORMの採用を推奨する、というものでした。最近、学術雑誌への投稿に際して、以前よりも共著者の具体的な役割や研究資金などを明記することが求められているかと思いますが、これらもこの流れに沿ったものと思われます。先日の利益相反委員会に於いてこの点を含めて検討致しましたが、日本神経化学会の利益相反指針は日本医学会の「COI管理ガイドライン」に概ね適合しており、これまで通りのCOI開示方法で良いと考えられるが、他学会の動向や更なるガイドラインの改定に対して委員会として注視していくこととなりました。特に学会発表などにおいては、複数の学会が合同で学術集会を開催することもあり、他学会との連携は重要であると考えております。
具体的な案件についての利益相反に該当するか否かの判断、及び該当する場合の開示方法等については、個別の検討が必要となることも多いかと思われます。もし、判断に迷われた場合やご不明な点が残る場合は遠慮なく利益相反委員会までご相談いただけますと幸いです。
皆様の産学連携研究などの一助になれば幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。
利益相反委員会委員長
堀 修