理事長だより 第一号
この度、岡野栄之先生の後任として2023年4月より日本神経化学会理事長を拝命いたしました山梨大学医学部薬理学講座の小泉修一です。岡野先生が盛り上げてくださった本学会を、さらに発展させるよう全力で取り組む所存であります。会員の皆様のご指導、ご鞭撻、またご協力を何卒よろしくお願い申しあげます。新体制が整いましたので、第一号の理事長だよりをお届け致します。
先ずは間近に迫った第66回日本神経化学大会のお知らせです。本年の大会は、今泉和則先生(広島大学)が大会長を務め、7月6日〜8日の日程で神戸国際会議場で開催されます。特筆すべきは、第64回日本神経病理学会総会学術研究会との合同大会である点です。本学会の長い歴史のなかで、日本神経病理学会との合同大会は初の試みです。
大会のテーマは「Next Neuro-分子と形態の融合の先に」です。両学会の特徴が正に凝縮された魅力的なものです。日本神経病理学会の先生方と融合することで、これまでに無い、多くの新しいアイデアや発見が生まれることが期待できます。是非とも楽しみにしてご参加頂ければと思います。今泉先生の大会長だよりもどうぞご一読ください。
さて今期の日本神経化学会は「伝統の継承と持続的な発展」というスローガンのもと、いくつかの新しいミッションに挑戦しますので、それについて少しずつお話させていただきます。今回は先ず、学会史編集委員会の設置についてお話します。聞き慣れない委員会名と思いますが、本委員会は日本神経化学会の長く素晴らしい歴史をきちんと残しアーカイブ化する為の委員会です。ノスタルジーや感傷に浸るため、というわけではありません。
本学会がこれまでにどのように世界や日本の神経化学・脳研究をリードしてきたのかを正しく知り・記録することで、これからの神経化学・脳研究の方向性や、日本神経化学会の方針決定、さらに研究者育成に役立てるための委員会です。海外には、このように自身の学会の歴史を記録し活用する委員会を備えている学会が多く存在します。例えば国際神経化学会にはHistorianというポジションがあって、その長い歴史(日本神経化学会よりは短い)をきちんと記録しています。
ピンと来ない方もいらっしゃるかもしれませんが、学会の歴史は、脳研究や本学会の方向性を決定する際に、大きな指針と勇気を与えてくださいます。また、先人達のサイエンスへの取り組みや生き様を知ることは、若手研究者の育成にとっても大変有意義なものになります。あまり大げさに構えて出発する訳ではありませんが、先ずは学会史編纂委員会による本会の歴史編纂を少しずつ開始し、日本神経化学会の新しい発見や運営に役立てたいと考えております。
2023年7月5日
理事長
小泉修一