第1回 日本神経化学会フォトコンテスト
第1回 日本神経化学会フォトコンテスト 応募作品
生体BDNF-Lucヘアレスマウスを用いて、カイニン酸誘導性BDNF発現を可視化した。発光基質としてAkaLumine-HCl (TokeOni)を使用し、IVIS Lumina IIを用いてマウス頭部の発光(黒〜青〜緑〜赤の疑似カラー表示)を測定した。マウスの脳を真上から見た際、海馬は二次元的に「ハ」の字に見えるが、皮膚や頭蓋骨の下にある脳、特に海馬を中心にBDNF発現が高い様子が浮かび上がる。
This particular astrocyte in the CA1 region of the hippocampal dentate gyrus shines with the intensity of a constellation, showcasing how our cells mirror the universe's beauty. GFAP (yellow) / DAPI (purple). Oil immersion at 63x. ZEISS LSM 900 (Airyscan)
大脳皮質をNeuN(緑)とPACAP(赤)抗体で染めています。PACAPを発現している細胞は細胞内に赤いドットが、PACAPの入力を受ける細胞は細胞の周りに多数のドットが観察されます。
アレキサンダー病は、アストロサイト特異的遺伝子GFAPの変異を原因とする稀少性白質変性疾患である。今回、私たちはSBF-SEMを用いて、アレキサンダー病モデルマウスの白質部位 ”脳梁”において、アストロサイト(青)が有髄神経軸索(黄)からミエリン(緑)を吸い取るようにして細胞内に取り込んでいる様子を明らかにした。この前例のない「ミエリン吸引貪食」が、本疾患で認められる白質変性の分子病態である可能性が高い。
30年前、当時の研究対象(AllenNo.16439)が一部の神経細胞にしか発現していなかったことから、神経細胞の個性に強い関心を持った。BDNF強陽性細胞の数%の増加が記憶タスク依存に起こることも2007年に発表し(PMID: 17765576)、現在は写真のAiCE-Tgを解析中。EGFP陽性細胞数は、入力依存的に増え、Fosとも重なるが発現量に相関はない(投稿準備中)。記憶との関係を突き詰めたい。
組織透明化技法と免疫染色を用いて、CGRP陽性の神経線維(青)とCX3CR1陽性のマクロファージ(緑)を約70μmの深度まで検出し、大腸粘膜の3D画像を構築しました。神経線維が粘膜固有層に広がり、それに寄り添うかのような多数のマクロファージが見られます。私たちは真皮マクロファージが痛みの閾値を制御することを報告しており(田中ら、2023)、このメカニズムが内臓痛にも適用されるかを研究中です。
脳発生期のマウス海馬CA1領域の冠状断面。錐体細胞移動の足場である放射状グリア線維を胎児脳電気穿孔法を用いてEGFPにより可視化した。透明化試薬を用いた後20倍の対物レンズを用いて共焦点レーザー顕微鏡で撮影しスタックしている。脳室帯から始まる放射状グリア線維の全長観察を試みているがかなり湾曲していると思われ、本写真のスライスは500μm厚であるが、いまだその全長は示せていない。
私達のpSI解析では、1500種類存在するRNA結合蛋白質(RBP)のうち、オリゴデンドロサイト特異的RBPは、予想に反してたった2つでした!その1つが昨年発表したSecisbp2Lです。写真は抗MBP抗体(緑)と自作の抗Secisbp2L抗体(赤)でマウス脊髄を染めたものですが、大学院生時代にいつか探そうと思ってたものを、時を超え同定でき、「まさにこれだった」という感動、感慨深い一枚です。
対象:マウス海馬CA1。胎生15日齢海馬にEGFP(右側)、TurboRFP(左側)を、子宮内電気穿孔法を用いて遺伝子導入し、生後15日齢に右側海馬CA1を共焦点イメージングした(Nikon, AX)。緑はCA1錐体細胞の細胞体及び樹状突起、赤は反対側から投射した海場交連軸、青は細胞核(DAPI染色)を示す。自己組織化された美しい層特異的神経回路は、海馬における情報処理の基盤となっており、学術的に重要である。
本作品はヒトiPS細胞から分化誘導した神経細胞とアストロサイトの共培養系の免疫染色画像を示した(赤:GFAP、緑:S100β、マゼンタ:MAP2、青:Hoechst)。共培養系は、細胞成熟度を高め、各細胞種のin vivo様の形態に近づく効果をもたらす他、Tripartite synapseの形成や分泌物による刺激などの相互作用を有し、ヒト細胞を用いた疾患解析や創薬研究において強力なツールである。
Sox10-Creと Z/EGマウスを交配した際のマウス小脳での抗GFP抗体による蛍光免疫染色画像になります。本マウスでは、当初の目的とは異なって組換えが何故かランダムに起こってしまい、いろいろな神経系細胞の形態が観察されました。この画像は共焦点レーザー顕微鏡(Ziess LSM710)により画像を取得しIMARISにより処理したもので、小脳プルキンエ細胞の形態的特徴が良く出ていると思います。
"2つの異なる神経投射が織りなす神経回路。その小宇宙に浮かぶグリア細胞の一種、アストロサイト。一世紀半前の観測から「星型細胞」と名付けられたこの細胞は、少なくとも6億年の歳月をかけてその微細な突起を進化させた。神経同士の苛烈な信号のやりとりを、広くゆっくりと受け止めるために。記憶や感情、知覚や動きをゆるやかに調節して、私たちを未来へ繋ぐために。
撮影条件:UPLSAPO 60XO Objective, Confocal Laser Scanning Microscope FV3000, Olympus. FOV: 127.28 µm x 127.28 µm. Sparse viral gene transfer-based labelling of long-range axon projections with mCherry (magenta), a single astrocyte with mNeonGreen (cyan), and immunostaining of norepinephrine transporters that labels a large part of neuromodulatory axons in mouse cerebral cortex. (yellow)."
GLAST-CreERマウスの有用性確認実験として、GLAST-CreER;tdtomatoマウスを作成した。海馬歯状回の神経産生を、tdtomato陽性神経幹細胞(赤)、tdtomato陽性神経(赤/黄)、NeuN陽性神経(緑)で撮影した写真。
リソソーム酵素カテプシンD欠損マウスのミクログリア(Iba1, 緑)はBushy typeに変化し、髄鞘化(MBP, 赤)を阻害する。画像はマウス生後20日の海馬領域の蛍光二重染色画像。左:野生型マウス、右:カテプシンD欠損マウス。
この画像は、マウス海馬のアストロサイトにlucifer yellowを微小電極で注入し、共焦点顕微鏡を用いて撮影したものです。アストロサイトは星状膠細胞の名の通り、複雑な突起構造が特徴です。単一細胞に色素を注入することで、バックグラウンドの影響を排除し、細胞骨格に対する免疫染色では見えない細胞全体の形態を鮮明に観察できます。この画像は、星のように輝くアストロサイトの美しさと、その微細な構造の芸術性を示しています。
P0 Wistar rat より調製した大脳皮質由来の細胞を16日間培養し、抗MAP2抗体(赤)と抗GFAP抗体(緑)および核をHoechst 33342で染色(青)した間接蛍光抗体法により、ニューロンとグリア細胞光学顕微鏡下CCDカメラで撮影した。神経化学会会員が研究対象としている脳神経系を代表する2大細胞を一枚の写真で表現している。
成体脳にてニューロンを産生し続ける脳室下帯の側脳室壁表面には、神経幹細胞の突起を多繊毛の上衣細胞が取り囲むように並ぶ「風車様構造」が形成されている。この構造は幹細胞性の維持やニューロン産出制御に関与すると考えられており、生後14日前後ほどで成体に近い形態となる。写真は14日齢のマウスの脳室下帯を接着結合に局在するβ-cateninと繊毛起始部の中心体に局在するγ-tubulinで免疫染色を行い、顕微鏡下で風車様構造を可視化した。
神経細胞とアストロサイトの混合培養に含まれるアストロサイトの中間径繊維(緑:Nestin 赤:GFAP 青:Vimentin)を免疫蛍光染色した。細胞ごとに発現量に多様性があり、互いに重ならないように突起を伸ばしている様子が観察できる。
血管内皮細胞特異的に蛍光タンパク質を発現するTgマウスの脳を透明化しライトシート顕微鏡により観察し擬似カラーで示しています。毛細血管一本一本が見える解像度の画像を短時間で取得することができます。三次元での可視化を行なっているため、血管同士の立体的な位置関係がわかるのが大きな特徴です。画像解析の新たなステージの到来を感じていただければと思います。